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「農法の分類」
お客様から有機野菜と表示した野菜を取ってはみたが、見た目がきれいで形が揃っており、果たして安全なのか、どのような農法なのか、その見極めがわからない、と言う質問が多い。
そこで現在行われている農法の大まかな分類をしてみます。

①慣行農業・・除草剤・化学肥料・農薬の3点セットを使った近代農業のことです。
 マーケットの98%以上がこの野菜です。
 ほとんどが農協などを通しスーパーなどで売られている。
 野菜生産には除草作業に大変な労力が掛かります。
 生産規模が大きくなればなるほど人手を喰ってしまいます。
 そのため、先ずは除草剤を撒き草を枯らしてから種蒔きや定植作業を行います。
 北海道や大規模干拓地などの広大な圃場では除草剤の助けなくしては農業は行えません。
 市場流通では安価で均一・均質な野菜が求められますから、成長を促す窒素分を安定的に供給できる
 化学肥料は手放せません。
 通常マーケットに出ている野菜は虫食い一つあれば購入する消費者はいませんので
 最低でも、一週間に一回以上の農薬(種類によっては危険度が高い)は使用せざるを得ない。
 日本人の消費性向が除草剤・化学肥料・農薬を使う近代農業を後押ししているのです。
 減農薬などと表現している慣行農業もありますが、どのような農薬をどの程度使用しているのか、
 実に曖昧です。
 
②有機JAS認定農産物・・有機JAS認定のマークが付いており、有機専門の卸屋を通して販売している農家が多い。
 (このマークも一枚50銭掛かります)
 
 国からの支援も販売機会点も乏しく、煩雑な手続きと現実対応し難い規約に嫌気がさしているのか、
 年々減少しているようです。
 ※有機JAS法
  「有機物ならば何を使っても良い、化学合成された肥料及び農薬は使ってはならない」
  と言うことが基本ですが、様々な制約があり毎年煩雑な報告書を提出し、
  商品を出荷する際は一枚50銭のシールを貼らねばならない。
  その規約にはとても現実的とは言えないようなものもあり、
  農業現場から見ると首をかしげるような部分も多い。
  問題となるのは、一度取得してしまえば、事実上立ち入り検査も無く逆に緩い法規とも
  なっていることです。
  その煩雑さと曖昧さから、年々有機JAS認定取得の農家が減っている。
  この法規には規制のみで、有機農家へは国からの保護や支援はほぼ無いに等しいのです。
  有機JAS法制定後、戦前までに行われてきた長い歴史があった日本の有機農業は一端途絶えてしまい、
  温暖地である日本での欧州型の規約を定める有機JAS法は、日本の気候風土や消費(流通)市場の
  実態に合わず、有機農産物は農業生産の0.2%以下にとどまっております。
  先進国では最下位に落ちております。
 
③非公認の有機野菜・・有機JAS認定を取得せず、独自の有機肥料を使って生協・有機専門卸を通して
 販売を行っている。
 
 ただ、自称有機野菜を言っている生産者・流通会社もあり、実態はわかりにくい。
 「大地の会」などは会独自の規格を作り消費者へ販売しているケースもあります。
 有機JAS認定取得の煩雑さと手間を嫌って独自の有機肥料を使っているようです。
 その有機肥料も畜糞・油粕・米糠などが多く、どうしても窒素過多になっています。
 こうなると化学肥料と大差ないことになります。
 藁や草などを
 使っている堆肥に近いものもありますが、成長が遅いため、窒素分の多い有機肥料を使いがちです。
 マーケットの0.5%程度だろうと推察されます。
 国の有機野菜の認定を受けていないため、店頭では有機野菜の表示はできない。
 
④自然農農産物・・無肥料・無農薬栽培としており、ほとんどが家庭菜園レベルであり、
 生産量は限られており、不安定でもあり、小さなグループを形成している場合が多い。
 その実態はわかりにくい。
 ごく一部に焼き畑農業も存在しているが、こちらのほうが自然農と言っても分かり易い。
 
⑤自然栽培・・窒素分の少ない草木堆肥によって土を育て、土の地力によって農産物を育てる。
 土作りに最低3年を要し、この農法で農産物を生産できるまでには多くの年月が掛かります。
 そのため、この無肥料栽培(低窒素栽培)を私は当農園の他2軒しか見ていない。
 実際には土作りに10年以上を掛けてフカフカ・サラサラの土に育ててからが美味しく
 栄養価の高い野菜ができます。
 この栽培方法がテーマです。
 この栽培方法をとっている農業者は数えるほどしか居ないでしょう。
 自然栽培農産物と言うワードは公認の言葉ではありませんが、自然循環農業のほうが
 通りが良いようです。
 有機野菜とは一線を画しており、「むかし野菜」と言うべきかもしれません。
 尚、肥料を使わず、草木堆肥しか施肥しない農産物栽培農園は当農園しかないと思います。
 残念なことです。
 

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三色茄子; 白・紫・緑とあります

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農法より農薬の使用のほうがクローズアップされているが、実は、使われている肥料の方が問題なのです。
最も私が言うところの危険な農薬や除草剤を恒常的に使用している農業は大きな問題なのですが、化学物質が多く含まれた蓄糞などの有機肥料で育った農産物も危険性は同じなのです。(後に詳述)
未来へと繋がっていかねばならない「持続可能な農業」には、健全な土壌が大切です。
 
そういった視点でこれらの農法を見比べてみると、今までとは異なった問題点や価値観が見えてきます。
マーケットに存在している農産物の98%は慣行(近代)農法から産出されたものです。
ただ、他の2%の農産物はマーケットでは見えにくく、自ら探さねば出会えないものです。
全国の有機農園と称している生産者及びグループのホームページをご覧になってください。
そこに記述あるいは、紹介されている肥料及び堆肥がどのようなものなのか、どのような作り方をされているのか、詳細な説明が無いようです。
土作りを説明しているホームページがあれば、分かり易いですね。
無農薬などとうたっているほかは、詳しく紹介されておらず、観念的で曖昧な表現しか見当たらず、言葉だけが踊っているように見えるものが多いのも残念なことです。
 
有機農産物だけではなく、日本の農業離れは加速しており、食糧自給率という食糧安全保障の危機が叫ばれているにも拘わらず、政府の農業軽視の姿勢が顕著になり始めており、農業人口の減少に歯止めがかからない。
このまま無為無策が続いていると近い将来、気候変動や国家間の軋轢などによって深刻な食糧危機がもたらされることを憂慮しています。
地球温暖化と異常気象により、栽培管理がし易く成長も早い見栄えの良いハウスなどの施設栽培が主流となり、天候に左右される露地栽培農家は減少の一途にあります。
本来、自然とともにあるべき有機栽培もその主流はハウス栽培へと傾きつつあります。
国土と環境を保全する役割を担ってきた露地栽培の衰退は同時に地域の疲弊をもたらせております。
 

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hakusai

白菜

kousin-daikon

紅芯大根