■■ 野菜作り(微生物達と自然循環機能) ■■


昔の野菜はこんな味がした

1.野菜の美味しさとは、


「この野菜は美味しいね」と言ってもらえるには、只、甘いだけでどうでしょうか?
人間の味覚は、甘味・酸味・渋味・辛味・苦味の五味以外に筋を感じさせない歯切れ等の食感・ジューシーさ・香り等を感じて美味しいと言っているのではないでしょうか。

◎完熟野菜は糖質・ビタミンが一杯


これをもっと科学的に考えていくと、野菜は土中の窒素分を吸収し、成長酵素(ミトコンドリア)の働きにより成育過程でその根・茎・葉・果実等に炭水化物とデンプンが蓄えられる。
やがて土中に窒素分が少なくなると、ミトコンドリアが減退し完熟していく。
完熟する際に、そのデンプン・炭水化物の一部が糖分とビタミンに変化する。
※土中に窒素分が切れて成長が停止すると、植物は生き残ろうとして体内に蓄えたデンプ ン等を分解させ、糖分やビタミンに変える。
◇ちなみに低温でゆっくりと加熱すると甘さを感じたり、かぼちゃ・芋類などを常温で寝かせると甘みを増すなどは、野菜のデンプン等が分解して糖質に変化するためです。

◎糖質とビタミンが一杯の野菜は甘さだけで美味しいと感じているだけではなく、それらは実は栄養価の体内吸収率が高いため、体が美味しいと感じているわけです。

 

美味しい野菜作りへの一口メモ(NO.1 窒素の作用)


(高窒素栽培)=即効性肥料栽培 → 野菜が筋張り、歯切れが悪く口の中に繊維が残る

化学肥料・畜糞肥料はどうしても土中に窒素量が過多となりやすく、野菜は(ミトコンドリアが増殖し続け)急成長し大きな野菜ができあがりますが、急成長するあまり倒れないように筋張ってきます。
根の張りも弱く、全体からみて茎は細く、実や葉は筋張りかつ肉薄になります。
→出荷まで2〜3カ月程度

味はデンプン質のため、時には苦味さえ感じます。
(デンプンは苦い)糖質・ビタミン類は少ない。
又、筋張り、歯切れが悪く口の中に筋が残ります。

◎美味しい野菜作りは、野菜の成育過程では土中に窒素分が必要ですが、完熟段階では、土中に窒素分が少なくなるようにしなければなりません。(窒素を切る)

(低窒素栽培)=緩効性肥料栽培 → 野菜に筋を感じず、歯切れが良く口の中で溶ける

健全な野菜はしっかりと根を張り(ひげ根が窒素分をもとめて広がる)丈夫な茎が育てば葉肉が厚く、どっしりとした実を付けます。 それらの野菜達は根・茎の土台ができるまではゆっくりと育ち、野菜は筋張らなくても倒れません。→出荷まで3〜4カ月程度
それらの野菜を育てるためには、緩効性肥料=特に草木中心の堆肥が適しています。

糖質が高くほんのりと甘みを感じます(糖質から変化したビタミン類豊富)
又、茎・葉・実ともに筋張らず、歯切れがよくジューシーです。



◎生命体はミネラルが欲しい=現在の野菜は味香りが薄い!


野菜を含めて生命体は、細胞をリニューアルし続けるため12元素のミネラル(鉄分・カルシュウム・マンガン・マグネシューム・カリ等)を摂取し続けることが必要となりますが、これらが不足した野菜達は不健康であり、栄養価が低い。(岩塩や海の塩は単に塩辛いだけではなく甘さや旨味を感じるのはそれらのミネラル分によるものです)
野菜は本来その味や香りに特徴があり、「えぐみ」さえ美味しさのはずでした。 私は10数年の実験(体験)からミネラル分が不足した畑からはこの味香りのある野菜は育たないことに気が付きました。
次に、美味しい野菜作りの2番目は、土中にいかにこのミネラル分の補給をするかです。
 

美味しい野菜作りの一口メモ(NO.2 ミネラルの作用)


(畑は慢性的にミネラル不足)

化学肥料や畜糞肥料だけを施肥していくだけでは、慢性的に畑はミネラル不足に陥り、味香りの少ない不健康な野菜ができあがります。
ちなみに、味香り・辛味等は野菜達が虫から自分を守るために身に付けたものであり、従って、このように育てられる野菜栽培には恒常的に農薬が必要となります。
個性のない野菜(味香りが少ない)は栄養価という点ではむかしの野菜達と比べて1/5以下に落ちています。

◎バランスよくミネラル分を含んだ土で育てられた野菜達は味香り(個性)があり、野菜特有の美味しさが出ております。それは個々の野菜達はそれぞれ異なるミネラル分を多く、吸収する性格を有している、例えば、ほうれん草や小松菜は鉄分を欲しがるなどです。
そのため、より多くの種類の野菜を満遍なく摂取することが大切です。


(むかし野菜はミネラルの宝庫)

地球上でミネラル分の宝庫は海です。海水が太陽に温められ蒸発し、雲が発生します。
やがて雨が降り、地上に微量なミネラル分が補給されます。その微量なミネラル分が木や草の根から吸収されます。昔の農夫達はこのことは知らずに、草木を集め、堆肥にし、土に戻すという作業をくりかえしてきました。このため、むかしの野菜には豊富なミネラル分が含まれておりました。
生命体はバランスのよいミネラル分を含んだ多種類の野菜を摂り続けることによって、細胞の活性化が図られ、本来の自己治癒機能が活性化することになります。

◎成人病やアトピーなどの現在病は、衣食住の様々なことに影響を受けているでしょうが、むかし野菜を日常摂り続けることによって、かなりの部分は解消(治癒)していくと思われます。


◎むかし野菜の話=昔の野菜は美味しかった


近代農法(化学肥料と農薬)や畜糞を使用し続けると、土は固くなり塩基濃度(養分が濃過ぎた土壌)が増し、健全な野菜が育ちにくい問題が出てくる。
私も様々に土作りや施肥方法を考えて実験してきましたが、美味しい野菜にはなりませんでした。
そこで思いついたのは、昔(戦前・戦後)の野菜作りはどうしていたのか?と言うことでした。
戦前・戦後まもなくは各農家に必ず牛を飼っていました。
そこでは牛糞(畜糞)がわずかと入会地や山林・田などから藁・草や葉を集め、堆肥として、又、人糞を肥溜めで腐らせて肥料として畑や田にやっておりました。
しかも何代も続けて有機質の堆肥や肥料をやりつづけるため、土壌には計測不能な種類の微生物が棲んでおり、土はふかふかと肥えており、野菜の味も冒頭で述べた味・香りが豊かでしゃきしゃきとした食感があり、美味しい野菜の思い出がかすかに残っております。
(私自身も農家ではなかったですが、小さい頃、畑に肥を運んでいた記憶と野菜の懐かしい味の記憶が残っております)
 

美味しい野菜作りの一口メモ(NO.3 微生物の作用)


(化学肥料や畜糞肥料中心の土)=持続不能な農業になる危険性

化学肥料や畜糞肥料を恒常的に施肥し続けると、土の塩基濃度が上がり続け、次第に土は固くなり、
同時に併用せざるをえない農薬との相互作用で微生物や小虫が棲めなくなり、土は劣化していき、生産量も減少していきます。

(植物性堆肥を中心とした土作り)=持続可能な農業

植物性堆肥(当農園の例;畜糞2:葉や木4:草4が基本)は完熟一歩前で畑に施肥する。
その堆肥は窒素分が少ないかわりに、大量の微生物や放線菌(黴)や小虫が生きており、畑の中で残された有機物の発酵分解の過程で微生物が増殖し、常に少量づつ窒素分を補給してくれます
(土の中で発酵分解作用が長く継続して行われる状態→緩効性肥料)

@このことによって、窒素分の継続補給効果が出ます(緩効肥料)
A特定の有害病源菌の発生が抑えられる(無限大の微生物層による食物連鎖により)
B自然の林や森の腐葉土のような土が形成される。(自然のリサイクル機能)
Cバランスのとれた微量のミネラルが効率良く土に残され続ける
(多種類の木・葉や草から作られた植物性堆肥・桐灰はそれらのミネラルが凝縮している)

◎農薬は原則使用できない。


畑の土は小宇宙のように微生物・放線菌などの棲みかとなり、自然の浄化リサイクルを繰り返します。
このことが持続可能な農業といわれている所以です。
農薬の使用は彼等の一部を駆除することになり、食物連鎖を壊しかねませんので、できないと言うことになります。 但、即効性のある残留しない農薬であれば、少量の葉面散布程度は問題はありません。
(専門的には、即効性のある残留しない農薬とは、光合成分解により分解しやすい農薬のこと。)

※土作りは最低3年必要

昔の農業者は何代にも亘ってこのような有機土壌を作ってきたことを思い合わせれば、最低3年経たなければ「金の土」にはなりません。
→土の団粒構造=土が粉状から粒状に変化していくこと。


2.私の美味しい野菜作りへのこだわり
 

露地栽培へのこだわり


露地栽培は温度の変化や風水害の影響をまともに受けますが、ハウス栽培と異なり、太陽や雨露を直接受けることによって光合成や温度差によって、健全で美味しい、野菜が育ちます。
ビニール一つ隔てているだけなのに露地物はハウス物と味が大きく異なります。


@野菜によって施肥方法が異なる。

例えば、根菜(大根・にんじん等)は堆肥の量が季節によっても異なり、多くやりすぎると、味が飛び、少なくやると成長不良に陥る。
巻物(白菜・キャベツ等)は高窒素肥料(米糠・油粕・牛糞など)と中熟肥料をバランス良くやらないとうまく巻いてくれません。

A畝立てにより水捌けを良くし、水分を切る。

微生物の豊富な土壌は団粒構造(粒子の粗い塊が連なった土)が形成され、水捌けが良く、水持ちが良い。(日本の気候では難しいハーブを育てる際はこのほかほかした土が必要)
野菜の成長期には水分が必要ですが、完熟期には水や肥料分を断つことが必要。畝立てはこのためには欠かせない作業の一つです。

B中耕・土寄せ作業は土に空気を補充し、根を活性化させる。

除草や土寄せを行う際に畝下の土を起こしてやる作業。この際に追肥が必要な野菜には、
米糠・油粕・貝殻・豆殻などを発酵させた窒素分の多く含まれた肥料を施肥します。

C虫取り作業

最も難しい季節は、4月から11月初旬頃までで、土中に虫が湧き、蝶や蛾、コオロギなどが芽を食べたり、茎ごと切り倒してしまいます。成育途上で虫害により全滅することもしばしばです。この季節は毎日が畑の見回りと除虫作業が農作業に追加されます。
大根は土中に棲む線虫によって4月以降表皮を削られ、一般市場では商品になりません。
(勿論当園では遠慮なくお客様にそれを届けますが)
このため、一般的農家では、土消毒として農薬をやるのが通常です。

D除草作業

最もやっかいなのは、こぶし(球根が連鎖)やスギナです。1年もほっておくと、畑はそれらに占拠されることもままあります。このため、よく農家では除草剤を撒き、これらを駆除します。当園の畑作りにはこのこぶし等の除草作業が重労働です。

 昔ながらの農法は絶え間ない土作りと野菜に対する愛情が全てであり、美味しい野菜作りは、それらを理解して頂く人達によって支えられており、 「むかし野菜」とは、単に有機無農薬と言うことではなく、体が美味しいと感じてくれる野菜のことです。